歯周病と歯槽膿漏の違いは？
歯槽膿漏（しそうのうろう）は、歯周病の症状の一つです。歯槽膿漏＝歯周病と考えられることも多いようですが、歯周病とは、細菌によって引き起こされる歯や歯ぐきの病気である「歯肉炎」と「歯周炎」の総称の事を指します。
日本人の場合、歯肉炎は10～20代前半ですでに60％の方が罹患しているといわれ、50才代でおおよそ80％の人が罹患しているといわれるほど、多くの方が悩んでいる歯の病気です。 軽視していると最後には歯を抜く原因となる恐い病気です。
歯周病は予防することができます。また、早期発見、早期治療がもっとも大切なポイントとなりますので、歯が痛いなどの症状がなくとも、半年に一回は歯科受診したほうが良いと言われています。
（健康な歯と歯ぐきであれば、定期健診は痛くない、むしろリラックスできる癒しの歯科診療となるはずです。）
歯周病の原因
歯周病の原因は、お口の中にいる細菌です。その中でも特に、歯周病菌と呼ばれる菌が原因となっています。 むし歯菌も歯周病菌も、歯垢（プラーク）と呼ばれるネバネバした細菌の塊の中にすんでいます。ネバネバしているので、色々な細菌が集まりやすくなっています。
さらにネバネバした歯垢が石灰化して硬くなると、歯石と呼ばれる石のように硬い状態になります。この歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢がつきやすくなります。
歯垢の段階では歯ブラシをすると除去できるのですが、歯石になってしまうと歯ブラシでは取れませんので、歯科医院で歯石を除去するようになります。
歯周病にならないためには、口の中の細菌を減らせばよいのですが、むし歯と同じく、やはり歯ブラシでしっかりと歯を磨く事が有効ですが、歯周病に罹患する原因には他にもいくつかあると考えられています。
歯周病の原因７つ
- 喫煙 タバコを吸うと、血管が収縮して血流が悪くなるため、歯周病が進みやすくなると言われています。
- 糖尿病 体の抵抗力が低下するため、歯周病も悪化することがあると言われています。
- 女性ホルモンの変化 思春期や妊娠したとき、あるいは更年期など、女性ホルモンが急激に変化するときに、ホルモンの影響で歯周病になりやすくなると言われています。
- ストレス ストレスによる歯ぎしりや、ストレスによる体の抵抗力の低下などにより、歯周病になりやすいと言われています。
- 食生活の乱れ 柔らかいものや甘いものばかり好んで食べていたり、ダラダラと長時間飲食し続けていると、歯垢ができやすくなります。また、栄養が偏ると、体の抵抗力が低下して歯周病になりやすくなります。
- 歯並びの悪さ 歯みがきをしても、毛先が行き届かないところに歯垢がついたままになってしまうことがあります。
- 口呼吸 口呼吸の弊害はいろいろなところで挙げられていますが、口の中が乾燥するため、歯周病にもなりやすくなると言われています。
以上のような原因がありますが、自分自身で予防できる項目がたくさんあります。歯だけでなく全身の健康を守るためにも、自分自身の食生活や嗜好、癖などを見直して、正しい歯みがき生活をしましょう！
歯周病の予防方法
歯周病にならないために、あるいは歯周病をこれ以上進行させないために、何をしたらいいのでしょう？ 先ほど書きましたように、歯周病の原因は歯垢の中にいる細菌です。 細菌が減れば歯周病になるリスクも低くなります。細菌を減らすには、歯垢を取り除くことが大切です。 歯垢がなくなれば、歯周病だけではなく、むし歯になるリスクも低くなります。
歯垢を取り除く方法、それは正しい歯みがきをすることです。
「毎日歯みがきをしている」
とおっしゃる方も多いと思いますが、それでもむし歯や歯周病が減らないのはなぜでしょうか？ 理由は、きちんと（正しく）歯をみがけていないからに他なりません。
歯をキチンとみがこうと思うと、意外と多くの注意点があります。鏡を見てじっくりゆっくりみがきながら、正しい歯みがきを体感してください。磨きあがった後の口の中は、本当に気持ちよいものです。当院でもブラッシング指導をしていますので、ぜひ受けてみてください。 また、生活習慣を改善することも大切です。
先に書いた歯周病の原因となるものを一つずつ取り除いていってみてください。 細菌が原因ですから、細菌の塊である歯垢を取り除くこと、自分の体そのものを健康に保って、細菌に負けない状態にすることが大切です。 歯周病をきっかけに、あなた自身の生活や健康をぜひ見直してみてください。
歯周病の治療法
歯周病は、正しい歯みがきや生活改善でその進行を止める、あるいは遅らせることができますが、根本的な完全な治癒はありません。 重度の歯周病になってしまったら、歯科医院で治療してもらう必要があります。当院では、歯周病の患者さまには以下のような治療を行ないます。
- 応急的処置
応急的処置が必要な場合に行ないます。歯肉が腫れている場合には、腫れている部分を切って膿を出すことがあります。 - ブラッシング指導（プラーク・コントロール）
的確に歯垢を取り除くための、正しい歯みがきの仕方を解説します。（ブラッシング指導と呼びます。）新しい歯ブラシをお渡ししますので、歯科衛生士と並んで一緒に歯みがきをします。 - 歯石除去（スケーリング）
歯垢が石灰化して固着してしまった歯石は、プロが取り除くのが一番安全で確実です。むし歯や歯周病の温床となるので、歯石を見つけたらすみやかに取り除きましょう。 - スケーリング・ルートプレーニング（SRP）
歯ブラシが届かないような目に見えない部分（歯ぐきと歯の境目＝歯周ポケットの奥）に歯石がある場合は、局所麻酔をして歯石を除去します。歯垢や歯石によって病気のセメント質も除去して、ツルツルに仕上げます。 - 歯周外科手術
歯石を除去しても歯周病が治りきらない場合は、歯周外科手術をします。歯肉を切って歯槽骨からはがし、こびりついて取れなかった歯石を除去してピカピカにします。 - メンテナンス
歯周病は、歯科医院での治療が終わってからが大切です。せっかく取り戻した健康状態を維持しましょう。毎日の正しい歯みがきと規則正しい生活、定期健診が必要です。
大切な体のことですから自分自身でできるお手入れは毎日自分で行い、数ヶ月に一度の定期健診でチェックしましょう！
